うぐはら 小野正嗣 森のはずれで あらすじを読む 異国の森の小さな家で、幼子と二人きり、妻を待つ。森から声が聞こえる、奇妙な住人が訪れる、妻は戻らない...三島由紀夫賞受賞作『にぎやかな湾に背負われた船』から四年、小説の新たな可能性を切り拓く傑作短編小説集。 ACIDMAN 赤橙 劇薬を撒いて植物たちを救おうとした男の子は、善意だけで行動したのだろうか。 憂鬱そうに笑いながら橙色の砂を巻いた彼は、劇薬を撒いた挙句自らに振りかかって息絶えた、あのギザギザの歯の少年に似ていた。 金色や銀色の幾筋もの光の輪が、通路を塞ぐように、森を照らしている。 死者を弔い、憐れむように。 1 0 0件のコメント 送信 シェア うぐはら 小野正嗣 マイクロバス あらすじを読む 口のきけない青年は、入り組んだ海岸線に沿って、ただバスを走らせ続ける。まるで、世界を縫い合わせるかのように。すべてが土地の思惑通りに進んでいるかのようだった。土地と人間の、記憶の物語。芥川賞候補作。 サカナクション 白波トップウォーター 母親には「事故をするからバスに人間を乗せるな」と言われ、村の人々には根も葉もない噂を立てられ、ご飯の食べ方を注意され、運転手から罵られ、一方的な暴力まで受けても人を馬鹿にせず、抵抗せず、文句を言わずに寡黙を貫く信男を称えたい。 1 0 0件のコメント 送信 シェア うぐはら 小野正嗣 水死人の帰還 あらすじを読む 遠い号砲が、オジイの戦争の記憶を呼び覚ます。悪戯者の猿は、オバアの血を騒がせる。冥界から使者が訪れ、水死人は姿を変えて帰還する―。『九年前の祈り』の新芥川賞作家、奇想あふれる6篇。最初の作品から20年の光跡を示す魅惑の短篇集。 キリクと魔女 舟人 黒く淀んだ水は流れ続け、 青年は赤い花に埋もれたまま、 朽ちてゆく。 死者は彼岸から此岸へ現れた。 青年は死者と手を取り踊る。 彼からすれば、一途な純愛に違いない。 こちらからすれば、理解に苦しむが。 0 0 0件のコメント 送信 シェア