健太郎の家の近くの海に、ずっと前から不気味な塔が建っている。地図にもインターネットにも載っていない、謎の建物。夏休みの最初の午後、憂鬱な気持ちで海岸にいた健太郎は、気が付くとその塔に「さらわれ」ていた。そこには感情がなくなった人々の群、閉じ込められた十数人の大人たち、そして昏い目をした少年、貴希がいた。健太郎と貴希は次第に心を通わせ、塔を出るための「出城料」を共に探し始める...。少年たちのある夏、切なすぎる冒険譚。

作中にも登場する、トランペットで奏でられる美しい音楽です。
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高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。

誰かにとっての幸せが誰かにとっての不幸せ
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莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

「あなたは決して独りではないこと
誰かに望まれて生まれてきたこと
待っている未来があるだなんて
安っぽい言葉だと思うでしょうか」

かつての「コーキの天使ちゃん」が人生に迷い、命を落としそうになっていたときに救ったのがチヨダブランドであるように、辻村深月の作品から生まれたこのバンドの音楽が、誰かの命を救うことがありますように。

「死にたい」と願う命が、抱えた命が、少しでもこの世界に留めていられますように。
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莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に百二十八通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った一人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った一つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

自分の作品が、大きな事件を引き起こすきっかけになり、作品が書けなくなったチヨダ・コーキ。コーキの天使ちゃん(実際は環)に救われ、前に進もうとする姿に曲がリンクしました。
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脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか...?深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。『このミステリーがすごい!2014年版』の「復刊希望!幻の名作ベストテン」にて1位に輝いた、幻の名作がついに復刊!

時間が有り余るから、弱さに酔ってしまう。大事にしていたはずのものを、あっけなく捨ててしまう。
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格好いいです。連城三紀彦さん、図書館で見かけていたのですが読めずじまいで…面白そうですね。
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人間の弱さや絆の脆さが、ミステリーの隠し味になっています。ぜひ読んでみてください!!
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最強の殺し屋は――恐妻家。 殺し屋シリーズ最新作!

わたしの中でAXのイメージは、「愛の挨拶」エルガーのクラシックピアノ曲です。

p304の『その通り』あたりから入って、真っ黒な画面でエンドロールが流れ切った後に、兜(判子)の三宅夫妻の出会いのシーンが流れて終わるイメージがあります。

全体的なストーリーが他の殺し屋シリーズとは違ってゆったりしたスピードなのと、家族に焦点を当てしかも結果的に父と息子で医者を倒すという、読後感に形容し難いかたちの何かを感じた時、この曲が浮かびました。
わたしの中で伊坂作品は、クラシックのイメージが強いです。
魔王あたりからずっとそうなので、無意識のルールなのかもしれません。

この「愛の挨拶」は朝のようなイメージの楽曲ですが、曲全体は兜の平凡な殺し屋としての人生(暗)です。
その中でも中盤ト長調になるところ、本来なら暗く聞こえる箇所が兜にとっての家族の存在(明)なのだろうと、裏返して聞いてみると面白いなあと感じました。

わたしのイメージソングの発想が、読んだ時の感覚と曲調がハマるかどうかなのでもやっとした理由でお恥ずかしいですが、一度聞いてみていただきたいです。
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クラシックだったら読後感はこの曲しかない!ってぐらいぴったりでびっくりです。
次回は是非読書会でも選曲を聴かせてください^_^
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私は体調の悪いときに美しいものを見る贅沢をしたくなる。しかし最近は馴染みの丸善に行くのも気が重い。ある日檸檬を買った私は、その香りや色に刺激され、丸善の棚に檸檬一つを置いてくる。現実に傷つき病魔と闘いながら、繊細な感受性を表した表題作ほか、「城のある町にて」「雪後」などを収録。

色鮮やかな檸檬から伝わるのは、倒錯に近い心地良い憂鬱と倦怠感だ。御弾きやびいどろを口に咥え丸善の破壊を目論む男は、余程鬱屈していたに違いない。店に遺された金糸雀色の爆弾は照明でてらてらと輝き、さぞかし美しく映ったことだろう。
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ヤマシタさんの絵は線が美しくて理知的なんだけども、時折その世界観をぐちゃぐちゃにするような狂った方向へ舵を切ってくる所がいつもサイコーだと思うのですが、さんかく窓はこちらのルールが通用しない理不尽なあちらの世界を絵が見事に表現している。
理知的であるが故に、思い切りのいい物語りの舵取りができる所が、いすぼくろさんの歌と重なる部分があるなと思って選びました。
映画たのしみですね。主題歌はこれがいいです。
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この本のあらすじは準備中です。Amazonで読むこともできます。

施設の子はかわいそうと思われたくない
正しく理解してほしいという思いで作られた本作品

歌詞になぞって、そんなイメージを
ぶち壊せ ぶっ飛ばせ
そのために
立ち上がれ 立ち向かえ

と鼓舞しているように感じました。

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常識の先を歩く“発想力”と“実行力”で芸人の枠を超え、天才クリエイター・絵本作家としても大活躍の著者。 仕事の広げ方とは? 型破りな実例をもとにしたビジネスのヒントが満載!

自分の大切な人を守るためには、自由を得るにはどれだけ周りに叩かれようと
自分が強くなるしかない。一度きりの人生、やりたいことをやってワクワクするような毎日を過ごしたいよね、という本書のメッセージにぴったりだったのでこの曲を選びました!!
"叶えたいことと叶わなそうなことが重なって見えるけど
人生が二度あるならこんな険しい道は選ばないだろ
でもこの一回たった一回しかチャンスがないのなら
何もかも諦めて行くつもりはない
後ろに明日はない 力を宿せ WAR"
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狂人か、天才か―34歳で世界をかき回す“巧みな交渉術”のルーツ。ベストセラー『父・金正日と私金正男独占告白』の著者が20年以上の朝鮮半島取材を通して描く決定版。

麻原がもっと早く、金正恩の名がマスコミに現れる前に処刑されていたら、麻原は実は死なずに北へ渡り金正恩となった、というカルト神話が生まれていたかも⁉︎
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そんな考え方もあるかもしれないですね!
選曲も素敵です!
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ひとけのない公園に落ちていた一枚の幻の金貨。それを手にした小学5年生の高坂健輔にオキシジェンと名乗る奇妙な男は語った。「もしも...力が欲しいのなら...それを探してみるといい...面白いところに、糸がつながっている―」と。男の言葉は未来への鍵か、それとも禁断の邪悪な扉か?秘宝を探し求めて、少年は不思議な冒険をはじめる。

そのままの意として。劇薬の幻想
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2018年本屋大賞受賞後第一作! あのころ言葉にできなかった悔しさを、辻村深月は知っている。切れ味鋭い傑作短編集。

僕たちには夢も現実もない。あるのはそれぞれの「体験」だけだ。だから僕たちの会話は噛み合わない。僕たちは永遠にひとつにはなれない。「でも、それこそ素晴らしいんだ」と思えるには、まだちょっと時間が必要か。
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妻の浮気が先か、それとも僕の失職が原因か?ともあれ僕は、会社を辞め離婚した。顔面至上主義のプレイボーイ津田と、別れてもなお連絡が来る元妻、そして新しい恋人...。錯綜する人間関係と、男と女の行き違いを絶妙な距離感で描く長嶋有初の長篇。斬新な構成と思わず書きとめたくなる名言満載の野心作。

『なべてこの世はラブとジョブ』!
いい年した男の、情けなくも笑えるモラトリアムを、追体験してみては。男女関係をパラで走らせちゃいけません。人として最低ですから。
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雨の降りしきる港湾地区。埋め立て地に置かれた冷凍コンテナから、十四人の男女の凍死体が発見された!睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、それは始まりに過ぎなかった―。機捜所属の女性刑事クロハは、想像を絶する悪意が巣喰う、事件の深部へと迫っていく。斬新な着想と圧倒的な構成力!全選考委員の絶賛を浴びた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

事件はその異常性を披露するかのように自ら姿を現した。
【冷凍コンテナから発見された14体の凍死体】【その事件に挑む女性刑事】
事件の謎に迫る緊迫した雰囲気と作品全体の質感にマッチしているんじゃないかなーと。
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あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

一生懸命生きて、と支えて励ます歌詞が、お城に集まったメンバーの誰かが誰かに語りかけるようだと思い選曲しました。
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出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!

"君が燃やす想いは次の何かを照らすんだ"
言葉を愛する者たちが、周囲を巻き込み「辞書」という作品を作り出す。
完成した瞬間から古くなってゆくにも関わらず、言葉という生き物を生きながらえさせるために腐心してそれを編み、次の世代へとバトンを繋ぐ。
完成するからこそ終わりなく続いていく舟に魅せられた者たちの物語。聴いてください、星野源『Continues』。
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本書は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話篇」という物語形式を用いてまとめた一冊です。欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示します。この世界のひとつの真理とも言うべき、アドラーの思想を知って、あなたのこれからの人生はどう変わるのか?もしくは、なにも変わらないのか...。さあ、青年と共に「扉」の先へと進みましょう―。

感想を端的に要約すると「総ては僕の捕らえ方次第だ」
当り散らしは言わずもがなのタブー...そうよね。

「捉える」解釈で終わらせず、あえて「捕らえ」と、自分の人生、自分でつかむ感がいい!
私こそ世界の中心。笑
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町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

花火がーぱーっとひらくー
のワンポイントで選曲。この小説で一番良い場面なので。
夏の庭は決して恋愛がメインテーマではないが、曲の醸し出す切なさとはなんとなくマッチしていると思う。
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中国SF三体の三作目です。とんでもないスケールの話でいくとこまでいってしまいます。具体的な数字の時間や距離、人数に圧倒されました(^o^;)
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